関係法規

焼却炉の設置においては、「大気汚染防止法」と「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の2つの法律が最も大きく関わっています。
平成9年(1997年)12月1日には、ダイオキシン抑制のための大幅な法改正が行われました。
また、平成12年1月15日には「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行され、ダイオキシンの規制がさらに強化されました。
都道府県や政令指定都市等においては、規制対象の範囲や規制値等を別に条例で定めている場合もありますので特に注意が必要です。

1. 大気汚染防止法

法律第3条 排出基準
焼却施設(火格子面積2m2以上または、焼却能力200kg/h以上)より排出される硫黄酸化物・ばいじん・有害物質について排出基準が定められている。

法律第6条 設置の届出、法律第10条 実施の制限
焼却施設を設置する場合、設置の60日前までに都道府県知事に届け出をしなければならない。

政令270号(平成9年12月1日施施行)
有害大気汚染物質としてダイオキシン類が追加され、排ガス中のダイオキシン濃度の基準値(「廃棄物の処理と清掃に関する法律」参照のこと)が定められた。

●ばいじん排出基準

施設名 一般排出基準 一般排出基準
排出ガス量
40,000m3N/h以上
排出ガス量
40,000m3N/h未満
排出ガス量
40,000m3N/h以上
排出ガス量
40,000m3N/h未満
廃棄物焼却炉
(連続炉)
0.15g/m3N 0.50g/m3N 0.08g/m3N 0.15g/m3N
廃棄物焼却炉
(その他)
0.50g/m3N 0.25g/m3N

※硫黄酸化物SOx:K値規制
※有害物質:HCL・NOx・カドミウム・フッ素・鉛

ばいじん排出基準の強化(平成10年7月1日施行)
「大気汚染防止法施行規則」の改正により、ばいじん排出基準が新設炉では平成10年7月から、既設炉では平成12年4月から強化されます。
今回の改正は廃棄物焼却炉のダイオキシン類の低減対策、及び大気中の浮遊粒子状物質に対する削減対策が狙いです。

●改正後のばいじん排出基準

施設規模 新設炉
(特別排出基準)
既設炉
平成10年7月~ 平成12年4月~
火格子面積2m2以上または
焼却能力200kg/h以上~2,000kg/h未満
0.15g/m3N 0.25g/m3N
焼却能力2,000kg/h以上~4,000kg/h未満 0.08g/m3N 0.15g/m3N
焼却能力4,000kg/h以上 0.04g/m3N 0.08g/m3N

2. 廃棄物の処理及び清掃に関する法律

法律第15条 設置許可
廃棄物処理施設を設置しようとするものは、厚生省令で定めるところにより、当該産業廃棄処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事(保健所設置市・政令指定都市の場合は市長)の許可を得なければならない。

法律第21条 技術管理者
産業廃棄物処理施設の設置者は、当該産業廃棄物処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当させるため、技術管理者をおかなければならない。

政令269号(平成9年12月1日施施行)
設置許可の必要な施設の処理能力が次表のおうに引き下げられ、より小規模な施設を設置しようとする場合でも許可が必要となる。

●設置許可が必要な廃棄物処理施設の範囲

焼却施設の種類 改正前 改正後
(いずれかに該当するもの)
一般廃棄物 処理能力5トン/日以上 処理能力200kg/時以上
火格子面積2m2以上




汚泥 処理能力5m3/日超 処理能力5m3/日超
処理能力200kg/時以上
火格子面積2m2以上
廃油 処理能力1m3/日超 処理能力1m3/日超
処理能力200kg/時以上
火格子面積2m2以上
廃プラスチック類 処理能力0.1トン/日超 処理能力100kg/日超
火格子面積2m2以上
その他(木くず等) 処理能力5トン/日超 処理能力200kg/時以上
火格子面積2m2以上

改正後新たに許可対象施設に該当するものであって、平成9年12月1日現在で現に設置されている焼却施設については、新たに施設の設置許可は不要。ただし、平成10年2月28日までに所定の様式に必要事項を記載の上、都道府県知事に届出を行う必要がある。

●省令65号(平成9年12月1日施行)
廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシンを削減するため、許可対象施設の構造基準及び維持管理基準が強化された。
許可対象施設に適用される基準は以下のとおり。

(1)構造基準(改正後の主なもの)
1.外気と遮断された状態で定量ずつ連続的に廃棄物を燃焼室に投入できる供給装置の設置。
(ガス化燃焼式と処理能力2t/h未満の施設は除く。)
2.次の要件を備えた燃焼室の設置
・燃焼ガスの温度が800℃以上の状態で2秒以上滞留
・外気と遮断
・助燃装置の設置
・燃焼に必要な空気を供給できる設備の設置
3.燃焼ガスの温度を概ね200℃以下に冷却できる冷却設備の設置
4.ばいじんを除去する高度の機能を有する排ガス処理設備の設置
5.燃焼ガス温度及び排ガス中の一酸化炭素濃度の連続測定・記録のための装置の設置
6.ばいじんを焼却灰と分離して排出・貯留できる設備の設置

(2)維持管理の基準(改正後の主なもの)
1. 燃焼室への廃棄物の投入は定量ずつ連続的に行うこと。
2.燃焼室中の燃焼ガス温度を800℃以上に保つこと。
3.焼却灰の熱しゃく減量を10%以下とすること。
4.運転開始時には炉温を速やかに上昇させ、運転停止時には炉温を高温に保ち廃棄物を燃焼し尽くすこと。
5.集じん器に流入する燃焼ガスの温度をおおむね200℃以下に冷却すること。
6.冷却設備等に堆積したばいじんを除去すること。
7.排ガス中の一酸化炭素濃度を100ppm以下とすること。
8.排ガス中のダイオキシン濃度を次の基準以下とすること。

施設規模 基準値 ng-TEQ/m3N
新設炉 既設炉
平成10年12月~
平成14年11月
平成14年12月~
火格子面積2m2以上または
焼却能力200kg/h以上~2,000kg/h未満
5 80 10
焼却能力2,000kg/h以上~4,000kg/h未満 1 5
焼却能力4,000kg/h以上 0.1 1

※1ngは10億分の1 TEQは毒性等量濃度換算値を示す。m3Nは気温0℃1気圧の状態に換算した気体の体積。
※新設炉とは平成9年12月1日以降に設置された許可対象施設。
   既設炉とは平成9年12月1日以前に設置された許可対象施設。

 9.排ガス中のダイオキシン濃度を年1回以上測定・記録すること。
10.燃焼ガス温度及び排ガス中の一酸化炭素濃度を連続的に測定・記録すること。
11.ばいじんを焼却灰と分離して排出・貯留すること。

(3)許可対象範囲の見直し
小規模施設に対する規制を強化するため、許可対象範囲を見直す。

1. 許可対象施設の裾きりの引き下げ(原則:5t/日→200kg/時間)
2.許可対象となる施設への構造・維持管理基準の適用
3.処理基準の明確化野焼きを防止するため、施設の規模にかかわらず、廃棄物を焼却するに際し、遵守しなければならない処理基準(焼却設備及び焼却方法を明確化)

●焼却設備の構造
・空気取入口及び煙突の先端以外に焼却設備内と外気が接することなく廃棄物を焼却できるものであること。
・燃焼に必要な量の空気の通風が行われるものであること。

●焼却の方法
・煙突の先端以外から燃焼ガスが出ないように焼却すること。
・煙突の先端から火炎又は黒煙を出さないように焼却すること。
・煙突から焼却灰及び未燃物が飛散しないように焼却すること。

(4)経過措置
既設の廃棄物焼却施設の構造・維持管理基準の経過措置は、別に定められている。

対象製品
【廃棄物の処理及び清掃に関する法律】

3. ダイオキシン類対策特別措置法

(平成12年1月15日施行)
ダイオキシンの規制がさらに強化され火床面積0.5m2以上、焼却能力50kg/h以上の焼却炉がダイオキシン規制の対象とされた。

ダイオキシン類濃度の基準

施設規模 規制対象 基準値 ng-TEQ/m3N
新設炉 既設炉
~平成13年1月 ~平成14年11月 ~平成14年12月
火床面積
0.5m2以上~2.0m2未満
または焼却能力
50kg/h以上~200kg/h未満
排出ガス 5 基準の適用
を猶予
80 10
ばいじん
及び燃え殻
3 基準の適用
を猶予
3

※新設炉とは平成12年1月15日以降に設置された施設。
既設炉とは平成12年1月15日以前に設置されているか又は設置工事をしている施設。
ばいじん及び燃え殻の基準値の単位はng-TEQ/g。

設置者の責務
(1)届出
新設炉については。設置する60日前までに都道府県知事に届出すること。
(2)測定・報告
毎年1回以上、排出ガス並びにばいじん及び焼却灰などを含む燃え殻のダイオキシン測定を実施し、都道府県知事に報告すること。
(3)施設の改善
ダイオキシン類の測定値が基準値を上回った場合、施設の改善を行わなければならない。

対象製品
【ダイオキシン類対策特別措置法】

4. 消防法

焼却炉の設置基準
消防法により焼却炉(かまど、炉等)の設置は、建築物などから火災予防上、安全な距離を保つことと定められ、また一定以上の規模の炉(据付面積2m2以上)については設置の届出が義務付けられています。
なお具体的数値については、各地方公共団体において、条令で定められています。

焼却炉の設置基準(例)東京都

種類 保有距離
後方 側方 前方




使用温度800℃以上の
高温のもの
2.5m以上 2.0m以上 3.0m以上
使用温度300℃以上
800℃未満のもの
1.5m以上 1.0m以上
(開放炉にあっては1.5m以上)
2.0m以上
使用温度300℃未満の
低温のもの
1.5m以上 0.5m以上
(開放炉にあっては1.0m以上)
1.0m以上

危険物(補助燃料)の規制
軽油・廃油などの貯蔵に関しては、指定数量以上は消防法により市町村長または都道府県知事の許可を必要とします。なお少量危険物に関しても各地方公共団体において、条令により、届出を必要とする地区が多くあります。

危険物の指定数量

種類 品名 指定数量 少量危険物
第2石油類 灯油・軽油他 1,000ℓ 200ℓ
第3石油類 重油他 2,000ℓ 400ℓ
5. 騒音規制法

騒音規制法により、騒音規制値が定められています。
工場または事業場に特定施設(焼却炉の設置に関するものは、定格出力7.5kw以上の送風機が装備されているもの)を設置する場合、工事開始30日以前に都道府県知事に届出をしなければなりません。

騒音規制値

  昼間 朝夕 夜間
第一種地域 50ホン以下 45ホン以下 45ホン以下
第二種地域 60ホン以下 50ホン以下 50ホン以下
第三種地域 65ホン以下 65ホン以下 55ホン以下
第四種地域 70ホン以下 70ホン以下 65ホン以下
6.建築基準法工作物確認申請

高さ6mをこえる煙突

7.労働安全衛生法

ボイラ及び圧力容器安全規制(貫流ボイラの場合)

・ボイラ設置届(伝熱面積10m2を超える場合)
・ボイラ設置報告書(伝熱面積5~10m2の場合)

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